災害復旧と不公平
5月6日の北海道新聞に以下の記事が掲載されました
専門家「公平性欠く」胆振東部地震は6日で発生から8カ月がたったが、札幌市内では、液状化による被害が新たに見つかるケースが相次いでいる。市内で液状化が集中的に発生した地区は計6カ所。市は最大規模の被害が起きた清田区里塚で宅地の地盤改良工事に近く着手するが、ほかの5カ所では対策を取らず、住民に自力再建を求めている。専門家からは公平性に欠けるとの指摘が上がっている。(北海道新聞)
宅地液状化、相次ぎ発見 札幌市「自力再建を」 里塚は特例で公費投入 専門家「公平性欠く」:どうしん電子版(北海道新聞)
地震による被害は、その財産を所有している人が、自分の費用で復旧するのが原則です。
しかし、困っている人を救済するのも、行政の役割です。
どこまでするべきなのでしょうか。
液状化対策
NHKのwebニュースで市の対応を取り上げています。
去年9月の胆振東部地震では、札幌市清田区や北広島市でも大きな被害が出ました。住宅被害は清田区でおよそ2100棟、北広島市ではおよそ300棟に上ります。被害を受けた住宅をどう復旧させるのか。地震から半年が経過した今、共通して見えてきたのは、「行政による復旧の限界」です。(NHK)
札幌市は、道路の復旧と沿線宅地の液状化対策工事(約50億円)を発注し、まもなく工事が始まります。
札幌市の復旧工事は被災者の支援が目的ではありません。道路の復旧に付随して宅地も直す“特殊なケース”と位置づけているのです。
実際、札幌市の秋元克広市長は、「公共工事をする際に民地と一緒にしないとできない。支援するというよりは、公共事業をするにあたって、民地に入らせていただいて同時に進めないといけないという特殊なエリアだ」と話しています。(NHK)
また、となりの北広島市では、対策工事に8億円かかるため、復旧を断念。宅地(11棟)を買い取り、緑地化する方針です。
両市で対応が分かれましたが、変わらないのは、「個人の住宅は個人で直す」という原則で、このことが、「行政による災害復旧の限界」であると述べています。
個人の感想
自宅マンションでもひび割れが発生し、玄関前が陥没しました。
札幌市の対応は、広い範囲で大規模な液状化が発生したため、道路を復旧するには一体的に対策を行う必要があるということでした。
NHKの報道では、「宅地がもとに戻っても、高齢のため住宅の再建は難しい」との住民もいます。
「個人の住宅は個人で直す」ということが原則であれば、個人の住宅再建のために義援金や見舞金、補助制度、地震保険などトータルで制度整備していく、必要があります。
北海道新聞の記事では、市の対応が公平でないと専門家に語らせていますが、どうもポイントがずれていて、違和感を感じます。