脊髄損傷に画期的な治療法が、条件付きで承認 治験では13人中12人に効果が
昨年(2018)末、札幌医大とニプロが共同開発した細胞製剤「ステミラック注」が国から条件付きで製造販売の承認をうけました。神経を再生させて脊髄損傷を治療する画期的なものであると報じています。
今回はまちづくり系の話ではないですが、最近おどろいたニュースです
どんな治療なのか
・これまで、神経血管系の病気では、心臓や脳の病気はカテーテルなど治療ができるようになってきたが、脊髄損傷など一度傷ついた神経や脳の細胞は元に戻らないとされていた。
・このため、リハビリを行うぐらいした対処法がなかった。
・今回札医大本望教授のチームが神経を再生させる治療法の開発に成功した
具体的な方法は
間葉系幹細胞は神経や血液などになる能力を持ち、骨髄にわずかに含まれる。普段は血流に乗って全身を巡り、臓器の働きを正常に保ったり、傷ついた部分を修復したりするなど、自己治癒力に関わっている。
実際の治療では、局所麻酔した患者の腰に針を刺し10分ほどかけて骨髄液を採取。その中の間葉系幹細胞を専用施設で3~4週間かけて約1万倍に増やし、約1億個ずつ40ミリリットルのバッグに詰めて凍結保存する。投与時に解凍し、計2バッグを腕の静脈に30~60分間かけて点滴で戻す。
投与は1回だけ。間葉系幹細胞は傷ついた部分に自然と集まる。「多くの種類の神経栄養因子を分泌し、死にかかったり、眠っている神経を再び活性化」「新しい血管をつくり血流を回復」「何カ月も何年もかけて神経を再生」という主に三つのメカニズムが働いて、体のまひなどの後遺症を改善させるという。(北海道新聞)
・行政サイドでも北海道発の画期的な取り組みに支援が行われています。大学病院(道立)なので製薬まではできないため、大学の敷地をニプロに提供し、製薬工場を建設しました。札幌市は工場の建設が可能なように許可をしました。
いつから治療ができるようになるのか
・治療の対象は 損傷から1カ月以内の人
治療対象は脊髄損傷の急性期の重症患者で、損傷から約1カ月以内に骨髄液を採取できる人。(北海道新聞)
・2019年度から、札医大で治療が受けられる
昨年末に札医大で開かれた記者会見では、治験の代表研究者の山下敏彦教授(整形外科学)が「19年度に治療が受けられるのは(全国で)札医大病院(に限定される)」と説明。ニプロの佐野嘉彦社長は、札医大の隣接地に設けた製剤の製造開発拠点である「ニプロ再生医療研究開発センター」について、現状の生産能力が年間100人分程度であることから、「当面、供給は限定的になる」と述べた。(北海道新聞)
感想
昨年、たまたま参加したセミナーで、札医大の研究成果の報告があり、治験の様子を聞きましたが、13人を治療したところ12人に効果があった、また自分の細胞なので、安全性が高いそうです。
その動画を見せてもらいましたが、手が全く動かない患者が点滴を受けた次の日には指が動くようになり、1週間後には腕が動き、その後歩けるようになるなど、どんどん症状が改善し、半年で退院できたと報告されました。
この動画を見たセミナー会場にいた人たちから驚きの声があがりました。
脳梗塞の患者さんの治験も現在行われています。
機能回復が困難と思われた方たちにとって、この治療法は大きな希望となるのででしょうね。
早期に正式な承認が得られ、多くの患者さんの助けになればいいです。