札幌市の駐車場制度が変わる 提案制度で最大50%緩和
まちづくりVS駐車場
札幌市の駐車場制度の変更について、現在開催されている市議会に提案されたと新聞に載っていました。
今回は、まちづくりと駐車場について考えてみます。
まちづくりを考えていくうえで、車とどう向き合っていくかは、議論の大きなポイントです。
よく、都心部への自動車乗り入れ禁止を安易に主張する人がいますが、荷物の配達や業務交通などが都市の重要な機能を担っていることを考えるとそうもいかないでしょう。
かといって、大量の車が通行していて、歩行者がおちおち歩いていられないような道路であれば、快適な空間とは言えないでしょう。
都心部の駐車場もまちづくりの視点から見る様々な課題を抱えています。
・駐車場が不足すると、路上駐車が増加
・駐車需要を発生させる建物側で自己敷地内に整備するのが原則(駐車場附置義務制度といいます)
・そうすると建物ごとに駐車場が設置され、駐車場の出入り口が街並みや景観を分断
・出入り口は1階に設けられるため、貴重な商業や賑わいの空間として活用できない
・地方都市では、空き地におけるコインパーキングや月極駐車場の乱立し、自動車と歩行者の交錯が多数発生
まちづくりの上から考えると、歩行者優先のエリアには、駐車場を抑制する。駐車場は、都心の外縁部(フリンジ)に共同駐車場をもうけ、集約化する。来街者の公共交通利用を推進することなどが必要です。
札幌市の駐車場制度が変更
・札幌市の調査では、都心部駐車場は、ピーク時で6~7割の在車率で余裕がある。
施策の方向性としては
・附置義務駐車場の集約化や既存駐車場の有効活用を図る
・小規模駐車場の設置を抑制し、街並みの分断解消を図る
としており、隔地駐車場(敷地から離れた駐車場でも認める)制度、附置義務台数の緩和を行うことを発表しました。
この中で特に、注目したいのが、提案制度です。
・公共交通利用促進や駐車場の集約化などの提案をすれば、最大50%附置義務を緩和するとしています。
まとめ
札幌市の取り組みは、まちづくりと駐車場をめぐる課題解決の1つのモデルになると思います。
これらの提案を建物設置者だけで実現するのは、難しいケースもあります。行政や街づくり会社との連携が必要になってくると思われます。
集約の受け皿となる共同駐車場をどう実現していくかなど難しい課題もあります。
例えば再開発事業で公共的な施設として整備する。附置義務駐車場を設置しないで賦課金をはらう方法などについても、今後検討していってほしいです。